文學

われら闇より天を見る 本屋大賞

2023年の翻訳小説部門・本屋大賞 クリス・ウィタカー作 鈴木 恵訳 早川書店刊行 「われら闇より天を見る」 We begin at the end 最後になりバラバラのピースが纏まる小気味よさには驚かされます 思春期の過ちで友人の妹を事故死させた出来事から 強い絆を持…

ザリガニの鳴くところ

映画でザリガニの鳴くところを見たあと 本でも読んでみました ディーリア・オウエンズ作「ザリガニの鳴くところ」は2021年翻訳小説部門で本屋大賞を受賞した作品です 舞台はノースカロライナの海沿いの自然豊かな湿地帯と人種差別の残る町バークリ・コーヴ …

名前探しの放課後 辻村深月

辻村深月の初期の作品 「名前探しの放課後」 を読みました 青春物語+ミステリー 途中,何気なく主人公が変わるという意外な付箋がついてました 後を引く小説です

「グレート・ギャッビーを追え」 ジョン・グリシャム作,村上春樹訳

今週のお題「最近おもしろかった本」 ジョン・グリシャム作,村上春樹訳「グレート・ギャッビーを追え」中央公論社刊 稀覯本(直筆原稿)を巡る物語です.一攫千金を目論む泥棒,故買もいとわない稀覯本収集家の独立系本屋の店主,売れない小説家や色々問題…

梨木香歩 西の魔女が死んだ

須田しのぶ,梨木香歩,石田衣良,村上春樹の本を平行読みしていました 梨木香歩の「西の魔女が死んだ」祖母と孫娘のマッタリとした物語にははまりました.DVDも見てみたくなりました.ところで,物語に出てくるギンリョウソウは薄暗い山道で見かける花です…

須賀しのぶ

須賀しのぶの「革命前夜」,「神の棘Ⅰ,Ⅱ」を読みました 確かに引き込まれてます ただ,幕引きが「ちょっと感」は否めません 芙蓉千里4部作読み始めたところです 舞台は戦前の哈爾浜・ハルピン 宮尾登美子を思い出します

知念実希人の「崩れる脳を抱きしめて」

知念実希人の「崩れる脳を抱きしめて」を読みました.舞台は神奈川県葉山市のホスピス病院です.研修医の碓井蒼馬,弓狩環(glioblastoma),朝霧由(脳大動脈瘤)の織りなす物語でちょっとしたひねりがあります.地元の港の見える丘公園,外人墓地などもで…

桜木紫乃 危ない世界

桜木紫乃 ホテルローヤルでも危ない女性が出てきました。 話は変わりますが.郡山には、ビジネスホテルでローヤルホテルというのがあるので、以前泊まってみました。鄙びたホテルでした。 最近、「凍原」や「氷の轍」女刑事もの作品その他桜木紫乃作品を読み…

「細雪」の4姉妹 雪子と「デンジャラス」

谷崎潤一郎の長編小説「細雪」は1978年ヒマラヤ登山の道々読んだ小説です. 鶴子・ 幸子・雪子・妙子の4姉妹,特に雪子がいつ結婚できるか,ハラハラ,ドキドキしたものです. その後,市川崑監督で1983年に公開された細雪の色彩艶やかな世界には圧倒されま…

原田マハ「サロメ」

19世紀末イギリス・ヴィクトリア朝時代 オスカー・ワイルド作「サロメ」の挿絵などで一世を風靡した天才的画家オーブリー・ビアズリーの物語 女優でもある姉メイベル・ビアズリーの視点から迫った渾身の作です なんとも,知らず知らず,姉メイベルの,おどろ…

三体Ⅱ黒暗森林を読んで

平和な日本に暮らしていると 猜疑連鎖も 黒暗森林(宇宙に存在する文明は他の文明を評価できないので,危機管理として,自身は身を隠し,他の文明は見つけ次第殲滅すると)も SFの世界感として,そんなものかと思ってしまいますが 世界政治に眼を向けると 冷…

東南アジア と インド

東南アジア「多文明世界の発見」を読んでいると,この地域がいかにインドの影響を深く受けていたかを知りました.真臘(アンコール王朝)でも,仏教とヒンドゥー教の神々が,日本のお寺と神社の神々と同じように祀られていることが語られていました.そこで…

北林一光 北アルプス サスペンス ホラー

宮部みゆきが絶賛していたファントム・ピークスを読んだら止まらなくなり,サイレント・ブラッド,シャッター・マウンテンと一気読みしてしまいました.3作しか読めないのが残念.北林さんのご冥福を祈ります. 小説は北アルプスを舞台とする山岳サスペンス…

「三体」 話題のSF小説 劉慈欣著

中国・劉慈欣の衝撃のSF小説「三体」を読みました.三部作の一作目で舞台が2つあります.1つは文革期から今日までの中国.もう1つは三体星人の住む3つの太陽をめぐる惑星です. 主役は2人で,1人は文革期に父を殺害され,自身も反革命として迫害され,母親…

パンデミック 復活の日 夏の災厄

新型コロナウイルス感染がパンデミックな様相を呈しはじめ気がかりです.それでも,オリンピック前には収束してくれることを祈るばかりです. パンデミックと言うと小松左京の「復活の日」や,篠田節子の「夏の災厄」を思い出します. 小松左京の「復活の日…

知念実希人・レゾンデートル

村上春樹,今年もノーベル賞取れなかったですね. ところで,知念実希人のレゾンデートル半年ぶりに読みました. またまた,電車の中でうるうるしちゃいました.変な奴感満杯です. 2回目なんですがうるうる感は同じです.男ってこういうの好きだねー. この…

横浜大戦争・蜂須賀敬明著

「横浜大戦争」は横浜18区の土地神の少々馬鹿々々しい物語です.地理的なことや区の特徴(土地神の特徴)もわかるので,読んでいて面白い.一気読みしました.ついでに横浜大戦争ー明治編ーまで読んじゃいました. 明治編では18区以外に,横浜の大神,橘樹の…

最近面白かった本

中村文則の「あなたが消えた夜に」を読んでから,急に最近読んだ本で面白かった本を思い浮かべました. 中村文則:あなたが消えた夜に さすが中村文則.ひねくれていて,理屈っぽい,次々と変わる展開,一気読みです.ただ,最後が蛇足っぽい.もう少し退屈…

小太郎

小太郎と月 エノキの森 小太郎と仲間たち

小太郎 ー不思議な環の謎ー ①

@登場人物 お茶目なキー(小太郎) イケイケのゴー(光太郎) 陽気なタマ(温子) 慎重なトラ(竜之介) 博識な「裏のご隠居」(俊祐) 臆病なミー(玲香) 卑怯なキジ(倫之介) 脳天気なクロ(治) パピヨン(?) なぞのヒー(美雪) のほほんとしたコタ…

万葉集と私ー令和元年に寄せてー

僕が初めて万葉集に触れたのは中学生か高校生の頃です。日本史の授業だったのか、古文の授業だったかは忘れてしまいました。野趣にあふれた万葉集、技巧的な古今和歌集と対比され説明されたのを覚えています。 僕をとても引きつけた万葉集の歌は山上憶良の歌…

小太郎 ー涸れ井戸の謎ー3

小太郎 ー涸れ井戸の謎ー3 倫之助,玲香 皆と別れてから ご隠居のところへ大急ぎ 禁断の森をそっと抜け 赤岩湿地に足を取られ 山桜橋を飛び越えて エノキの森 荒船川を下って,下って,下って 荒船の森を駆け抜けて 道祖神の祠 小綬鶏の森に届けとばかり ご…

小太郎 ー涸れ井戸の謎ー2

小太郎 ー涸れ井戸の謎ー2 裏のご隠居,俊祐は年齢不詳の賢者です. ご隠居とは自立して自給自足で生活する仲間です.その生きざまに尊敬の意味を込めてご隠居と呼ばれています. 今はエノキの森の裏,荒船の森の外れで,小綬鶏の森近くの道祖神の所にある…

小太郎 ー涸れ井戸の謎ー

猫物語 小太郎 ー涸れ井戸の謎ー 僕は小太郎.家ではキーと呼ばれています.でも家の外ではクロだったり,タマだったり,ミケだったりといろんな名前を持っていますよ.仲間も皆同じ,本当の名前と家や外での名前を持っています.で,もって本当の名前は仲間…

智恵子抄を訪ねて 二本松

安達太良山と智恵子抄 二本松を訪ねました.智恵子の生家は駅から離れた旧街道沿いに復元されていました.同じ敷地内に智恵子の作品を展示した智恵子記念館もあります.裏手には光太郎と散策した鞍石山があり,「愛の小道」,「彫刻の丘」,「ほんとの空ひろ…