パンデミック 復活の日 夏の災厄

新型コロナウイルス感染がパンデミックな様相を呈しはじめ気がかりです.それでも,オリンピック前には収束してくれることを祈るばかりです.

パンデミックと言うと小松左京の「復活の日」や,篠田節子の「夏の災厄」を思い出します.

小松左京の「復活の日」では,アメリカが宇宙空間から採集し,イギリスで改悪された生物兵器{ミクソウイルスを(オルトミクソウイルスか,パラミクソウイルスかは不詳)仕込まれた宇宙由来の未知の細菌・MM88}により,南極基地と原子力潜水艦のヒトを残して鳥類,人類を含む哺乳類(海生の哺乳類は免れる)が全滅します.

しかし,皮肉なことにアラスカの大地震により誘発された自動システムによる核戦争(70%が中性子爆弾だった)が,パンデミックを起こしたMM88を無毒化させます.

この小説は映画にもなってます.映画と小説は違いますが,MM88が無毒化したことを確認し,南極人(南極に生き残った1万人の人々)はまずは南極で生まれた子供を含む300人程度の少人数で放射線汚染の軽度な南アメリカ南端に上陸します.

南アメリカ南端で暮らしはじめる人々のところに,ワシントン(核の自動反撃設定を止めるためにホワイトハウスに死を覚悟して潜入)から歩いて,アメリカ大陸を縦断してきた主人公・吉住(映画では若き日の草刈政雄)がやってくるところで終わってます.精神的にも肉体的にもボロボロの吉住をイルマ・オーリック(オリビア・ハッセー)が見つけ涙の再会です.全体的にさっぱり感があります.

なんと,早川書房から2018年版が出版されており驚きです.

この小説と違って

篠田節子の「夏の災厄」はドロドロした世界です.地方の小都市で,裏の林に住むオカモノアラガイ,コジュケイ,蚊(潜伏するフラビウイルス属)を介して感染{もともとは製薬メーカー,日本の大学が赤道地帯にある小島で日本脳炎ワクチンの実験を行い大学にウイルス保存,外部に漏れる)がジワジワ広がってゆくのですが,そこには右往左往する人間社会が広がってます.

新型コロナウイルスに対する行政の初期対応が篠田節子の小説のようにならないことを祈ります.

いずれの小説でも医療関係者は最後まで頑張ります.