雨の裏燧
前も後も暗い森
暗い中の
ジメジメとた登山道
朽ちた木道
苔むした木道
仰ぎ見る木々の梢も苔むして
清涼な雫が降り注ぐ
と
突然
明るい視界がとびこむ
そこは開けた湿原
緑の湿原
山の上へと続く緑の湿原
谷へと続く緑の湿原
白い木道が湿原を2つに分けて霧の中へと消える
目を上げれば霧に隠れた森が
幾重にも,幾重にも
霧に隠れた森が重なる
眼を足もとに向けると
ヒメシャクナゲ
滴を湛えて
雨に耐える
じっとつぼみに身を隠して
雨に耐える
霧が流れ
霧が舞う
霧の中,森の中に足を踏み入れると
そこは暗い森
目の前はもう暗い森
明るい湿原が現れるまで続く暗い森