陣馬山トレイルレース

今年も陣馬山トレイルレースの季節がやってきました.膝痛で遠ざかっていましたが,今年はチャレンジする予定です.レースの想いを綴りました.

 

陣馬山トレイルレース

混み合った電車が薄闇の中,谷間のローカル線の駅に到着する

電車を降りるとひやっと,冷気がほほをなでる

まだ覚めきらぬ眼を外にやると,明け方の谷間を漂う霧,雲のむこうに朝日が眩しい

いつもの景色,いつもと変わらない景色がそこにある

跨線橋を下りれば,駅の喧騒に目覚める

いやがうえにも高ぶる気持ち

線路沿いをダム湖の湖面を見ながら,山々の色づきに想いを馳せ,空の碧さに感謝して力強く,一刻も早くそこへ

坂を登れば,そこはスタート地点,横断幕と豊かな色彩が交錯するとっておきの場所

立ち込める靄の中,原色を纏う人影が現れ,また消える

草叢に集う人,テントに憩う人,斜面を走る人,オレンジ,青,黄色,水色,緑,ピンク,白,赤,黒,色彩の暴発

そして,1つの目的に向かい動き始める

準備体操を,挨拶が,スタートの号砲に

大気が震え,地を蹴る無数の靴,靴,靴,赤,緑,オレンジ,青,ピンク,黒,黄色

落ち葉を踏みしめ,落ち葉を噛みしめ,黄葉の山へ,一歩,一歩,また一歩

逸る気持ちと,狭い道,目の前に見える背中,背中,背中,帽子,帽子,帽子

そして明るく賑やかな明王峠へ、青空と白馬の待つ陣馬山

ああ

広く,緩やかな尾根道の下りは黄葉に彩られた躍る花道

腕を振り,脚を上げ,髪をたなびかせ,飛び跳ねる

風は優しくほほを撫で,小鳥の囀りは耳に心地よく,黄葉の木々は眼に優しい,地を蹴る靴は体を突き抜ける

駆け下りると第一関門,清流の里,落合

栃谷が,陣谷が,姫谷が年に1度の人,人,人,色とりどりの色彩に塗り絡められる

そして長く,緩い林道の上り,息は切れ,脚は震え,気はそぞろ

沿道の応援,カメラの励まし,残り距離の表示,もう限界

峠を過ぎ,矢ノ音を過ぎると,ゴールの栄光が疲れた体に奮いをかける

カウントダウンが始まる

冷気に冷えた,凍える脚で,苔むした岩を蹴り,渓流をかき分け,一歩,一歩,喧騒のゴールに向かう

そして歓喜の瞬間

このためにだけ走る喜びの時

至福の時

ゴールイン